待ったなし!! 深刻化する日本の空き家問題。

高度経済成長期の日本では、一般庶民にとって土地や住宅を所有することは豊かさの象徴であり、不動産こそが確実性のある資産であると信じられていました。不動産さえ持っていればお金に困った時には売却や賃貸によって収入が得られるに違いないと、多くの人たちが考えていました。
しかし現在の日本では人口が減少しているにもかかわらず住宅の建設が増え続けているため供給過剰となり、全国各地で空き家問題が発生しています。全国の空き家数は2018年には過去最高の849万戸となり、30年前と比較すると2倍以上に増加しています。 空き家率(空き家戸数が総住宅戸数に占める割合)も上昇を続けており、2018年にはその率が13.6%に達しました。
この状況の中、不動産は大切な資産であると信じて所有し続けていたものの、その管理に苦しんでいる人たちが急増しています。
以下の物語は、その一例です。

 
 

何気なく実家を相続した山田さん。それが大きな重荷に…

山田一郎さん(仮名・65歳)は、20年前に父親が亡くなった時に、父親の名義だった秋田県南地域の実家を相続しました。会社勤めをしていた一郎さんは転勤が多い役職にあり、実家から遠く離れた県外に住居を構えて妻子と暮らしていました。父親が他界する2年前に母親も他界していたため、実家に住む人は誰もいなくなりました。
いつかは自分が実家に戻って住むことがあるのではないかと、一郎さんは何となく考えました。自分が育った思い出のある家であり、両親が一生懸命に働いて建てた家であるため、相続を放棄する気にもなれず、深い考えもないままに実家の建物と土地を放置する状態になりました。
その家は小さな集落の中にあり、土地の広さは80坪ほど。集落の周りは田園が広がるのどかな場所であり、資産価値が高い立地条件にあるとは到底思えませんでした。

 
 

空き家の買い手が、なかなか見つからない!!

その家に住んでいる、住んでいないにかかわらず、土地・建物を所有していれば必ず請求されるのが固定資産税です。一郎さんは実家の固定資産税を年間3万円ほど払い続けていました。それに加えて屋根のペンキの塗り直しなどの修繕費も負担していました。相続してから8年ほどが経った時、住んでもいないのに管理にかかるお金をこのまま払い続けるのは負担が大きいと考え、思い入れのある実家ではあるが、やむおえず売却することにしました。
しかし地元の不動産業者に問い合わせたところ、建物が老朽化していて買い手がつかない可能性があるため、解体して更地にしてから売却することをすすめられました。地元の解体業者に見積もりを頼んだところ、200万円ほど費用がかかるとのこと。その時、一郎さんは県外に自分の家を建てたばかりで住宅ローンを払い続けなければならず、子供の進学費用も必要な時期であったため、解体費用の200万円は大きな負担であると感じました。そのため家屋を解体せずに売却することにしました。
しかし老朽化していることがネックになり、何年経っても買い手が付きません。一郎さんはメンテナンスのために実家に行くことがなかなかできず、充分に手入れができなかったために家の劣化が加速していたのです。

 
 

老朽化が進んでいるため、自治体から行政指導が入る。

それからさらに10年ほどが経った時、突然一郎さんの元に「至急、家屋を改修して下さい」という自治体からの指導が入りました。家屋の老朽化がかなり進んでいるため、強制的な対処を求められたのです。
これは平成27年に施行された「空き家対策特別措置法」に基づいたもの。放置される空き家が地域に増え続けると、倒壊の危険性や衛生上の問題、町の景観を損ねるなどの問題が生じるため、特に老朽化が進んでいる空き家は「特定空家」に指定され、強制的に行政から指導が入るのです。特に秋田県のような豪雪地帯にあっては、老朽化した家屋は積雪によって倒壊する恐れがあり、その危険性が懸念されています。
この行政指導に従わない場合には、さらに勧告→命令→強制対処という段階的な手順が取られ、「勧告」が出された時点でその家屋は「住宅用地特例」の適用からはずされてしまいます。「住宅用地特例」とは、簡単に言えば「建物が建っていれば、その土地の固定資産税が課税標準額よりも軽減される」という措置です。つまり「特定空家」に指定されて特例措置から除外されると、今までの何倍もの固定資産税を徴収されることになります。
さらに措置が進んで「強制対処」にまで至ると、罰金を課せられたり強制的に家屋が解体される可能性もあります。その場合の解体費用は最終的には土地の所有者に請求されます。

 
 

空き家を解体して更地にし、やっと売却に至る。

一郎さんにとってはまさに弱り目に祟り目といった状態でしたが、やむなくこの指導に従い、何とか費用を捻出して実家を解体して更地にしました。「特定空家」に指定された物件には、速やかに解体工事ができるように、自治体によって上限30万円の助成金制度が準備されていたため、一郎さんは解体にかかった費用の200万円の内、30万円をこの助成金でまかない、残りの170万円を自分で負担しました。さらに更地にしたため「住宅用地特例」の適用からはずされてしまい、今までの倍以上の固定資産税を毎年払い続けることになり、その状態で土地の買い手が現れるのを待ちました。※解体工事のための助成金支給には、建物の危険度がどの程度であるかなどの様々な条件があります。
解体に170万円を負担したので、この土地が300万円ほどで売れれば130万円の利益が出るだろうと一郎さんは期待したのですが、なかなか土地が売れる気配はありません。そのため値段を150万円、100万円と下げ続けて2年間待ったところ、新居を建てたいと願っていた若い夫婦が買い手として現れました。
売却を決意してから12年が経ち、やっと一郎さんは空き家を手放すことができたのです。

 


空き家を所有している方へのご提案。

申し遅れましたが、私、秋田県横手市で住宅の設計・施行、不動産の管理・仲介の仕事をしている「有限会社 中川設計総合企画」の代表取締役・中川義徳と申します。およそ20年にわたりこの仕事に携わっておりますが、山田一郎さんのように空き家の管理に悩んでいる方と関わることが多くあり、問題解決に向けてお客様に様々な提案をさせていただいております。
家はそこに人が住んでいれば利用価値があるのですが、誰も住まなくなって管理だけをする状態になれば、税金や売却、修繕など様々な問題を抱えることになります。
一郎さんの例に関して言えば、もっと早い段階で策を講じていれば、状況はそれほど悪くならずに済んだはずです。
家屋の老朽化が進んでいたり、不動産の立地条件が良くない場合には、買い手がなかなか付かない場合が多く、そのような不動産を放置しておくことは極めてリスクが高いと言わざるをえません。住宅の供給が過剰になっている今の日本では、空き家がなかなか売れないケースは地方だけではなく、首都圏でも多く見受けられます。

空き家を所有している方がこの問題にどのように対処すればよいのか、私の経験から得られた解決策を次に解説させていただきます。

 
 
不動産を売却する際に考えるべきこと。
不動産売却時の仲介買取の違い

不動産を売却するには、不動産会社に依頼して買い手を探してもらう「仲介」という方法と、不動産会社が直接引き取る「買取」という方法があります。自分の不動産が仲介と買取のどちらに向いているのかを判断する必要があります。

「仲介」は売り主と買い主の間に不動産会社が入って売買契約を取りまとめる方法で、不動産売却の際に一般的に行われている方法です。売り主が不動産会社に手数料を払って販売を委託し、不動産会社が広告や内覧会などの販売活動を行って買い主を探します。
「仲介」による売却では、いつ物件が売れるのか分からないというデメリットがあります。しかし立地条件が良かったり、家屋を建築してから年月がさほど経っていなかったりすれば、その物件には充分な商品力があるため、時間はかかってもいつか売れる可能性が高いです。物件がこの条件を満たしていて、少しでも高く売りたいとか考える場合には、この「仲介」がオススメです。

一方、不動産会社が買い主となるのが「買取」です。売り主は不動産会社と直接価格の交渉をして、条件がまとまればすぐに契約が成り立って不動産を買ってもらうことができます。
この方法では売り主が仲介手数料を支払う必要はありません。不動産会社が物件を仕入れて、リフォームやリノベーションを施して商品化し、それを販売することで利益が得られるからです。
買取の最大のメリットは短期間で不動産を手放して現金化できることでが、デメリットは市場価格よりも安い価格で売却される点です。すぐにお金が必要な時にはこの「買取」がオススメです。


以上のことを整理すると…

仲介に向いているケース
売却金額を下げたくない。少しでも高く売りたい。
売却に多少の月日がかってもよい。
築年数がまだ浅かったり、不動産の立地条件が良い。

 

買取に向いているケース
すぐに現金化したい(即時買取)。
仲介手数料などの経費を支払う余裕がない。
家屋が古く、物件に商品力がない。
 
   
不動産を売却する際に考えるべきこと。
❷売却時に家屋を解体するべきか否か?

建築してからかなり年数が経って家屋が老朽化している場合、それがネックになって買い手がなかなか見つからない場合が多くあります。しかし立地条件が良くて土地に資産価値があるのであれば、家屋を解体して更地にして売る方が買い手が付きやすくなり、売却できた時に多少の利益が得られる可能性があります。
その場合のデメリットとしては、前述の例にもある通り、家屋を撤去したことにより「住宅用地特例」の適用から外されて、土地にかかる固定資産税が以前の何倍にもなってしまいます。土地がすぐに売れてしまえば問題はありませんが、何年も買い手がつかない状態で税金を払い続けなければいけない可能性もあります。

 
 
不動産を売却する際に考えるべきこと。
❸空き家の管理を業者に委託する

空き家を放置しておくと、安全面や衛生面、防犯面などにおいて様々なトラブルに巻き込まれる可能性が高くなります。 建物は日常的に使われていないと急速に老朽化するものです。雑草や草木などが生い茂ったまま放置しておくと建物の劣化が進み、倒壊の危険性も高まります。
また、空き家には居住者がいないため、空き巣や不審者が侵入して犯罪者の拠点となるケースも見受けられます。
これらのトラブルを回避するためには、空き家管理を定期的に行うことが大切です。適切に管理して安全な状態に保つことによって、購入を希望する人が現れる可能性が高まってきます。
自分で管理するのが難しい場合には、管理代行業者に依頼することも方法の一つですハウスメーカーや不動産会社、警備会社など様々な業者が管理を請け負っていて、家屋の換気や通水、破損個所や雨漏りの確認、清掃、雑草の確認などをしてくれます。業者によって様々なサービス内容、価格設定があるので、自分の予算や状況にあったものを選ぶとよいでしょう。

不動産を売却する際に考えるべきこと。
❹「空き家バンク」を活用する

空き家バンクとは、地方公共団体が住民から空き家の登録を募集し、空き家の購入・利用を希望する人に物件情報を提供する制度です。つまり、空き家を売りたい人と買いたい人をマッチングさせる制度です。
これは自治体が宅地建物取引業(不動産の売買)を行なっている業者と連携して行なっているもので、田舎暮らしを始めたいという人や、空き家を活用した飲食店、ゲストハウス、民泊などを開設したいという人に希望にあった空き家を提供して、地域を活性化させることを目的にしています。
この空き家バンクに登録することも、不動産売却に向けた方法の一つです。最寄りの自治体の窓口に問い合わせてみるとよいでしょう。

 
 
空き家を相続する立場になったら、
すぐに相続放棄をするのも方法の一つ

自分が空き家を親などから相続する立場になった時に、管理費や解体費用などを負担し続けていくことが自分には到底無理であると思われる場合には、思い切って相続を放棄するこも策の一つです。
相続放棄とは一切の資産(預金・証券・不動産など)の相続権を放棄し、相続人としての立場から離れることです。相続放棄するためには「自己のために相続があったことを知ってから」3ヶ月以内に家庭裁判所で「相続放棄の申述」の手続きを行う必要があります。つまり、不動産の所有者であった人(自分の親など)が死亡したことを知ってから、3ヶ月以内にこの手続きをしなければならないということです。
相続放棄が認められると、その人は相続人ではなくなるので、空き家所有者となる可能性もなくなり、固定資産税の支払い義務もなくなります。しかし、相続放棄をしても空き家の「管理責任」という義務が自分に残る場合もあり、その義務を終わらせて完全に不動産との関係を断つためには、空家を「相続財産管理人」に引き渡し、国へ帰属させる手続きをしてもらう必要があります。それには家庭裁判所へ申し立てをし、相続財産管理人を選任して民法で定められた手続きを行わなければなりません。ただし、相続財産管理人選任の申し立てには費用がかかり、管理人への報酬支払も必要となります。

ご相談は無料!!

以上、空き家対策における方法を提案させていただきました。しかし一般の方々にとっては、自分の不動産の場合はどの策を講じるのがよいか、簡単には判断ができない、難しい問題であると思います。実際に一般の方が不動産の売却に関わろうとすると、このサイトでは書ききれなかった様々な問題に直面すると思います。
お困りの際には、ぜひ実績のある弊社にお気軽にお問い合わせいただければと思います。

★弊社は一級建築士事務所であると共に「既存住宅状況調査技術者」の資格も有しております。一級建築士ならではの視点で住宅の劣化状況・不具合の状況を適切に調査して報告し、お客様が安心できる不動産の売買を行なっております。

相談料は無料です。最善の策をご提案させていただきます。

 
 

 

不動産無料査定も受付中!!

★弊社は不動産の無料査定も行っております。お気軽にご依頼下さい。所有している空き家がどの程度の資産価値があるのか、ぜひお確かめ下さい。

 
 

有限会社中川設計総合企画
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